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FM802「ビンタンガーデン」

DJ=エレファントカシマシ 宮本浩次
(2000年6月4日放送)


 宮本浩次 ひとりDJ(前半)


みなさん元気ですか。エレファントカシマシの宮本です。Ladies and Gentlemen. Good morning.


 「ガストロンジャー」


えーあらためましてエレファントカシマシの宮本でございます。いやーもうほんとにね、第1曲目「ガストロンジャー」。「good morning」から聞いていただきましたけども、そんな訳で今夜のビンタンガーデンは、わたくしエレファントカシマシの宮本がDJを担当させていただくわけでございますけれども、しかしこれ深夜の1時ですからね。しかも日曜ですからね(笑)。ま皆さん明日もあるんでしょうけども、まあ最後までね。


しかしこれ何で私がこのビンタンガーデンに、この深夜1時に登場してるかといいますとね、僕らこれアルバム発売中ですけどもね、4月26日にエレファントカシマシ、ニューアルバム「good morning」出しましてね。「good morning」。んでまあ言ってみればこれはアルバムから何曲かお届けしよう、というそういうことでございますよ。でまあそのアルバムの時にまあいろいろエピソード、っつってもたいしたもんないんですよ?もうそのまま日常生活の一部ですからね、レコーディングっつったら。僕らミュージシャンですから。音楽でコミュニケーションとってるわけですからね。まそんな部分で、まあエピソードつってもいろいろ僕らが思った事、まあわたくし宮本がいろいろ何やって、考えてやってたか、みたいないろんなそういったことをやるという。ま非常にマニアね。マニアには必聴のそんな番組ですし、またかっこいい音楽もたくさん流しますんで、えー皆さん聞いてください、最後までね。


という事でございまして、今夜の「ビンタンガーデン」ですね、この後2時半まで続きますんでお付き合い下さい。じゃあ最新アルバム「good morning」から1曲お届けしましょう。「so many people」。これはgood morningアルバムバージョンでございます。どうぞ。


 「so many people(good morningバージョン)


エレファントカシマシの宮本浩次がお送りしております今夜のビンタンガーデンでございますけれどもね。えー聞いてもらった曲は、エレファントカシマシの最新アルバム「good morning」、最新アルバムっつっても4月に出ちゃってますけどもね。最新アルバム「good morning」から「so many people」アルバムバージョン、good morningバージョンでございました。


えーじゃあここからさっそく本題、アルバム「good morning」に至るまでのわたくしの軌跡といいますかですね、何しろ10年以上やってますからね、そのいろんな話をしていきたいという風に思っているわけでございますけどもね。非常に長丁場でございますからね皆さん。えーまあ夜中、深夜って事もございまして、まあだけどしゃべり方がこういうしゃべり方なんでねえ、ま何ともいえないですよね。早口っていうかね。何かこう調子がね、こういう調子なんですよ、わたし。あのー要するにあの、いつからかこういう調子になりましたよ。で、「な」とかね「う」とかね、言いますよ僕は。ええ。まあいいやそんなことは。どうでもいいですけども。


んでまあアルバムっていうとこれもうほんとねえ、11枚目ですよ皆さん。デビューしてもう12年になりますからね。13年か。わかんねーけど、12、3年なんですよ、これ。で僕らもう何しろ4人でね、中学高校時代の仲間でやってますからね。リハーサル、リハーサル、リハーサルでさ、ライブやるんでもほら、もうアルバム作るんでもリハーサルですから、僕らかつてね。何しろ1日7時間8時間リハーサルするんですよ、これね。そいでその挙げ句にさ、東京のほうだから富士山のほうまで行って合宿練習っつって合宿で練習しちゃってね。クリスマスだろうが正月だろうがね、メンバーで迎えちゃうんだよ。クリスマスにさ、その合宿でリハーサルして何かほとんど修行に近いですよ。僕らリハーサルっつーとねえ。男4人額突き合わせてね、これ丁々発止っつーのなんつーの?こうやるわけですよ。ってもほとんど僕が一人でしゃべってるわけでございますけども、ほら「あーやりたい、こーやりたい」っつってね。自分で曲作ってさあ、愛情あるでしょ?自分の曲に対して。そんなもんだからこう、「こうしてくれ、ああしてくれ」っつってヒステリックになったりね、また非常に何か一人でハイテンションなったりとかしながらね、リハーサル4人でエレファントカシマシやってたわけでございますよ。


そういった形でいろいろやってきた中でね、まあこれ非常に単純に言うの難しいとこがあんだけどもさ、「今宵の月のように」っていう一つ僕らの中での50万枚以上売れたこのシングルヒット曲、これドラマのタイアップ曲でしたよ。”一人高度経済成長”って部分でね、ヒット曲を経験し、またその何かお金が入ってくんだよ、ヒット曲出すとね。だから何かいきなり、僕今まで免許持ってなかったんだけどさ、ポルシェの中古屋の前行ってさ(笑)、「あの車いい、この車いい」なんつってやったのはそのちょうど「今宵の月のように」っていうシングルヒットがでた頃でしたよ、皆さんねえ。もう3〜4年ぐらい前になりますか?これ。それでね、僕はこの要するに「売れなきゃ、売れなきゃ、売れなきゃ」っつってやってきたの。ほらもう契約切られちゃったとかしてさ、1年半ぐらい男4人で路頭に迷った時期がこれありましてね。でみんなアルバイトしたりとかしてさ。そのあとに「今宵の月のように」っていう大ヒットが出たからさあ。まー嬉しかったですよ、これは。


でそれから「どうやって俺達やっていくんだ」みたいなさ。あのー要するにこう、ヒット曲が出たでしょ?そうすっとそのバンドとしての頂点って部分でね、いろんなスタイルあるじゃない。男として30歳過ぎてたからさあ。そうすっと俺はロックミュージシャンで、音楽でコミュニケーションとってる身としては、みんなにどういったものを提供していくっていうかさ、男の人生勝負って部分でもね(笑)、これいろいろ考えたんですよ。それでね、1999年昨年の12月に「ガストロンジャー」っていう、ひとつ僕らの新しいスタートのシングル曲出したわけですけど、これに至るまでもう僕は“男の美学”だ何だっつってねえ――皆さん、エアコン。あるでしょ?クーラー。あれ導入したんだって、たかだかこの2年ですからねえ。それまで僕はエアコンなんつって、これは文明の利器っていう部分で、あえて排除してたって部分があってねえ、もうほんとに真夏の夜中の熱帯夜なんかでもね、まんじりともせずに、これは変人ですよ、これねえ。パンツいっちょで。28度9度になるんですよ?これ。夜中にコンクリート住宅でさ。まんじりともせずね、エアコン取っちゃってさ。で暑い暑い。で冬は冬で火鉢なんつってほら、炭火でね。そんな暖房器具使ってたからさ。わかりますか?僕の言ってること。要するにそういった文明の利器をすべて排除した暮らしをしてたの。


その男がね、この「ガストロンジャー」で何を考えたか、いきなり機械導入ですよ、これ皆さん。サウンド、僕は8割がた自分で作りましてね。昨年の12月「ガストロンジャー」。聞いた事あります?あ、今日番組の冒頭でも「ガストロンジャー」流しましたけどね。ま非常にロックミュージック。これ支離滅裂なようで情熱って部分で皆さん伝わってますか?夜中の、深夜で非常にテンション高いって部分もありますけどもね(笑)。まあこれ僕のテンションなんで皆さんご勘弁願いたいって部分もありますよ。ほんとにロックミュージックってのは、なんつーのかなあ、奇跡の、魔法の音楽ですから。ロックに限らず全ての表現って部分でね。爆発、また力、勇気、こんなものを僕ら表現から得るわけですからね。で、まあそんな非常に新しいニューアルバム。「ガストロンジャー」以降のニューアルバム、エレファントカシマシ「good morning」これ出てるわけでございます、今ね。


 じゃあそのアルバム最新アルバム「good morning」から2曲続けて聞いていただきたい。まず1曲目が「コール アンド レスポンス」。非常にヘビーな、また非常にロックチューン。ね。そして2曲目がこれまた非常にね、実験的な部分もある「I am happy」。非常にメロディーなんかもきれいな曲ですよ、これ。この2曲をね。「good morning」から「コール アンド レスポンス」、そして「I am happy」。2曲続けてどうぞ。


 「コール アンド レスポンス」 「I am happy」


えーエレファントカシマシ、エレカシ宮本がお送りしております今夜のビンタンガーデンでございますけどもね。聞いてもらった曲はエレファントカシマシの最新アルバム「good morning」から「コール アンド レスポンス」、そして「I am happy」でございました。えーほんとにね、僕はさっきアルバム「good morning」を作ろうと思ったきっかけ、きっかけっつーかまあ、その情熱的な部分を話しましたけどね。ここでアルバムができるまでの具体的な部分をちょっと皆さんにね、聞いてもらいたいなって部分がありますんで、そんなレコーディングの話をちょっと聞いてください。


ほんとにね、レコーディングってのは非常にいろんなスタイルがあってね。僕らエレファントカシマシ、バンドってスタイルでやってきましたよ。ただ非常にこだわってね、バンドなんだからさ、ほらあるじゃん?バンドなんだからライブでもアルバムでもこれはやっぱ同じものにしなきゃいけない、要するにライブのテンションをアルバムに持ってかなきゃいけないって部分で、随分悩んだ時期があったんですよ、これ。だけどさ、やっぱ考えてみると、ほら僕が・・・コンポーザーっていうのかな、自分で曲作ってさ、みんなにこう説明するんですよ、今までだとね。そうすっとその間にワンクッション入っちゃうんだ。わかる?だから僕が、例えば「コール アンド レスポンス」なんて曲ができて、そうすっと今までだったらバンドのメンバーにスタジオで説明するんだよね、これね。そうすっとさ、「もうちょっとこう、宇宙的な盛り上がりで」とかさ、「もうちょっとこの、何かこう激烈なムードを出しつつ」とかね、非常に抽象的な説明になっちゃうんだ。そうすっとみんなも悩んじゃって頭抱えちゃってさあ、その「宇宙的な感じ」って何なんだろう、みたいなね。そんな非常に混沌としたリハーサルが続いた時期があって、もうリハーサル嫌になっちゃったんだな俺ね、ある時期。それでさ、みんな放っぱらかしにして俺は一人で、これはまあ逃避じゃないんだろうけど、上海に旅行行っちゃったりとかしてね(笑)。リハーサルを放棄しちゃった時期があったの、俺。


で今回その放棄って部分じゃなくてね、要するに自分が一番熱い、温度の高い、みんなに悩ませちゃうんじゃなくて、自分がまずやりたいものを、要するにデモテープってか自分のひとりの作業でさ。今コンピューターなんかもいい機械があって簡単にね、自宅録音できる機械あるんですよ?皆さん。今これもう凄いよ、文明の利器っていうのはさあ。車だって・・・車だってったってもうなくなっちゃうかもしんないけど、わかんないけどね。そんなあの自分で打ち込んでさ、要するにリズムですよ。ドラムのリズムパターンを僕が自分で考えたの。でその自分のリズムパターンに乗っ取ってね、ある種自分のクセの強いギターのスタイルと、また歌のスタイルって部分も、機械のキメ、キメのリズムパターンに乗せてったっていう作業をしたんですよ、デモテープん中でね。そらもう非常に自然な流れでしたよ皆さん。


何しろさっきも言ったけどさ、修行のように1日7時間8時間リハーサル毎日やってた男がさ、ある種自分の一番近い温度でサウンドを作っていきたいっていう思いが非常に強くなって、で自分で一人で打ち込みの作業をやってくってことになってって、で本チャンのレコーディングの時――このニューアルバム「good morning」ね――中では、その機械の打ち込みって部分を前面に押し出したね。自分の一番歌を生かせる、生かしやすい方法っていう部分で、リズムの無機的な非常に正確なリズムと、またその自分の、ある種アクの強いギターと歌を乗せてくって、非常に自由度の増したレコーディングでした。だから8割がた自分でひとりで演奏したけれどもさ、だからみんなメンバーなんか「ミヤジ、なんでドラマーもいるしベーシストも、――ベースなんか僕、随分弾いちゃったからさ――いるのに何で機械なんかでやってんだよ。これ長い付き合いで」と思ったと思うんだな、これね。ただそんな部分もライブなんて部分でやってましてね、みんなわかってくれてんじゃないかって思ってますよ、顔見てると。彼ら無口だからね。ま僕は勝手にいい解釈してますから、わかりませんけども。


何しろそういった非常に情熱的に作り上げた、むしろ機械を使ったことによってね、非常にパワーアップしたエレファントカシマシ、ニューアルバム「good morning」でございますけれども。えーじゃあさらに3曲、その「good morning」ニューアルバムから聞いていただきましょう。タイトルチューン「good morning」。この曲非常にヘビーですけどもね。非常に淡々とまた力強く進んでいく、これは打ち込みと思えないような非常に味のあるリズムパターン、それに非常に過激な歌詞入ってますけどもね。2曲目「精神暗黒街」、3曲目「ゴッドファーザー」。「good morning」「精神暗黒街」「ゴッドファーザー」この3曲、この3曲に共通して言えるのは、リズムが非常に無機的に正確になったことによって非常に歌詞の自由度が増した。そんな歌詞の面白さなんかもあわせて聞いていただきたいなと思っております。それではエレファントカシマシ、ニューアルバム「good morning」から、タイトルチューン「good morning」、「精神暗黒街」、そして「ゴッドファーザー」3曲続けて聞いてください。どうぞ。


 「good morning」 「精神暗黒街」 「ゴッドファーザー」


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エレファントカシマシ入門サイト good morning (http://elebox.moo21.com)