TOP > 20ぐらいの質問回答編 > イヌノアウさん

イヌノアウさんとエレカシとの出会いをたどる

(05/7/18回答)

――今日は一問一答形式で、エレカシファンになったきっかけを根掘り葉掘り探っていこうという企画です。どうぞよろしくおねがいします。では、最初の質問はお約束ということで、お名前を教えて下さい。もちろんハンドルネームで結構です。

「イヌノアウです。いちおう苗字がイヌノで、アウが名前ってことになってます。私の話はやたら長いことで有名ですので、皆さん辛抱強くおつきあいよろしくお願いしますね」

――最近は、やれセクハラだ個人情報保護だとうるさいので、住所、年齢、職業、性別等はあえてお伺いしません。と一応、網を張ってみます(笑)

「わりといろいろなところでオープンにしちゃってるんですけどね(笑)今のところは神奈川県在住の23歳・女、社会人1年目のぺーぺーです」

――さっそくエレカシとの関わりを探っていこうと思うんですが、そもそもエレファントカシマシっていうバンドを初めて知ったのは、いつ、どういう形でだったんですか?

「たぶん「風に吹かれて」がCMでやっていた頃、中学生のときだと思います。「悲しみの果て」とかもやたらいろんなところで流れていたらしく、ひと通り歌えるほどには知っていました」

――当時の印象って覚えてます?

「いや、実はあまり(笑)。たぶん歌はいいなあ、なんか耳に残る曲だなあと思っていたんでしょうが、どんな人が歌っているのかまでは知りませんでした。エレカシがバンドなのだと認識していたかも怪しいですね。ちょうど芸能界とか芸能界的な音楽自体にあまり興味をもっていない時期だったので」

――なるほど。で、その時は何かしました?

「いえ、何も。自分でCD買ったりレンタルしたりして聴くことがなかったので、TVでなんとなく聴き流していただけでした。もし、まわりの家族や友達がCDを買って持っていたならばもう少しはやく出会えていたかもしれませんが、逆にそうだったら学生時代の思い出で終わっていた可能性が高いかもしれません・・・。やっぱりタイミング的には今の状態で良かったですね。いろいろ当時とは見えるものが違っていたでしょうし」

――それでは、初めてリアルタイムで買ったアルバムって何ですか?

「リアルタイムなら『俺の道』です。また強烈なところからはいってしまったものですが」

――そのアルバムが出た頃がエレカシファンとしての始まりと思っていいんですかね?

「ん〜微妙にその前の時期からはじまっていたと思います。いろいろ昔の記憶を掘り返してみると、HEY×HEYに出てるのとかは見てるんですよね。浜ちゃんがほかのメンバーに話ふってるのに、横から『あ〜それはね』とか言い出して松ちゃんにつっこまれてたりとか。で、頭いじくりながらしばらく黙ってるんだけどやっぱりまた首つっこんじゃうっていう(笑)『なんだこの人、変だなあ、こういうマシンガントークなキャラ好きだなあ』と当時は思ってました。あとはある日ぱっとTVつけたら「ガストロンジャー」をやっていて、真っ赤な照明のなかで歌わないでほぼ“怒鳴って”るだけの宮本さんがいたんですよね。で、とうぜん度肝抜かれて『うわ〜何じゃこりゃあ』ってすぐに電源切っちゃいました。で、そのあとか別の日か不明なんですが今度は「孤独な太陽」をやっていて、『ん〜いい歌っぽいけど、なんかタルい、つまらん』ってまた切っちゃいました・・・当時の私はいまの自分に殴られても文句ないと思いますよ。と、あともうひとつ、高校1〜2年くらいのときに古本屋でエレカシのアルバムを手にとってじ〜っと買おうか買うまいか悩んでいたという記憶があります。それは『明日に向かって走れ−月夜の歌−』だったのはたしかなんですが。あまりメディアで見かけることがなくなっていた時期なのに、そんなに気になっていたということはそのときからもう、かなりの吸引力を感じていたのかもしれません。でも結局買わなかったんですけどね・・・」

――そのアルバムが、アルバムとして初めて聴いたエレカシだったんですか?それともそれより前に何か昔のアルバムを聴きました?

「いえ、違います。初めて買ったアルバムは『sweet memory』でした。やはり最初は♪さ〜よならさ〜♪(「風に吹かれて」)の印象が強かったので、基本を押さえるならこの時期のベスト版がいいだろうということで。ほかにもいろいろ系統が違うものが出ていたのは知っていたんですが・・・。出たばかりの『俺の道』と『good morning』のどちらかにしようかどうかってのはかなり迷いました。でも『「勉強オレ」のオレは俺なの?それともカフェオレ?はたまたフラメンコ?』という感じでバンドとしての毛色とかポジションがよくわかっていなかったので、はじめからキワモノっぽいのを聴いてしまうのは危険かなと思ってやめました」

――その初めて体験したエレカシのアルバムはどうでした?通して聴いた時の感想、覚えてます?

「そりゃあもう、すごくよかったですよ。これは友人ととある行事に向けて徹夜作業をしていたときに、もう何十回も繰り返して聴きました。で、みんなして毎回おなじところで『うわ〜っ』て感動するんですよ(笑)表題曲の「sweet memory」の♪イエ〜イエ〜エ〜、俺は突っ走る〜♪のところとか真夜中なのに大合唱しちゃったり、「武蔵野」に至ってはほぼソラで歌えるほどになりました。ちょっと異常な心理状態だったのもあって、何回聴いても飽きないんですよね不思議と。そのときいっしょにいたのが相棒の樋口なんですが、この1枚でお互いにエレカシに対しての素養がずいぶん養われたと思います。あとあれで、はじめて宮本さんとメンバーの顔をちゃんと見たんですよ、歌詞カードの写真で。でもそのときは情報がそれだけなので、いろいろ想像がふくらんでしまいまして。『宮本さんは九州男児』『白シャツ黒ズボンに下駄をはいている』『玄関のせまいボロアパートに住んでいて、銭湯によく行く』とかどんどん変な方向にいってました(笑)」

――シングルの場合は買わない人もいると思うんで、エレカシファン歴の参考にはならないかもしれませんが、せっかくなのでお聞きします。初めてリアルタイムで買ったシングルって何ですか?

「リアルタイムなら「化ケモノ青年」じゃないでしょうかね。最初シングルは買わないつもりでいたんでなかなか買う機会は来なかったんですけど。でも昔のシングルもやっぱり気になって中古で100円とかで売ってたのを買いました。「戦う男」とか「ヒトコイシクテ〜」とか。「戦う男」はCMソングだったせいかなんとなく耳が覚えてましたね」

――それでは、いよいよ核心に迫る質問なんですが、エレカシファンとして今に至るスタート地点ってどこだったんですか?エレカシのことが最初に気になりだしたきっかけを教えて下さい。

「すごく長い話になるんですけどいいですか?実はわたしにはエレカシの前に及川光博というターニングポイントがありまして、そこから音楽に対しての向き合いかたががらっと変わったんですよね。以前はラルクとかミスチルとかスピッツとか、まわりの影響で好きだった歌手はけっこういましたし、歌もかなり覚えたり歌ったりしていました。でもCDを自主的に買うことはなかったし、ライブや音楽活動以外のことについては本当にまったくといっていいほど興味がなかったんですね。それがミッチーという人物に出会ってから、その人の思想や、人となりや、過去の発言や、趣味嗜好にいたるまでもう全てを“ぐわ〜”っと知りたい欲求が高まってしまう経験をしたんです。そしてその好きな歌手とおなじ空間、おなじ時間を共有するライブの楽しさも発見しました。えーと、まあいろいろ誤解を受けやすいキャラなのでここをあまり強調されると困るんですが(笑)ミッチーのおかげで、作り手のパーソナリティや背景も丸ごと含めて好きになるということを知ったんです。」

「で、ここまでが長い前フリだったんですが・・・。とある地域音楽情報雑誌に彼のロングインタビューが載っていてそれを買ったんです。そこにはかなりの有名どころから半インディーズのようなアーティストまで、熱心で丁寧なインタビュー記事がたくさん掲載されていたんです。本来が活字愛好者なイヌノはそれをほぼ全部読みまして、新しい音楽の世界にかなり好奇心を刺激されて、もういてもたってもいられなくなってしまったんです。でもレンタルしてまですべてを試してみる根性はなかったので、ほぼ全曲が無料で試聴できるHMVのサイトに行ってみました。でも実際音を聴いてみると、“これだ”と思うものがなかなかなくて、ほぼ全滅状態のなかで少し哀しい気持ちになってしまって。そこで、雑誌とは関係なく以前からちょっと気になっていたアーティストを試しに聴いてみようと思いたったんです」

「そこでエレカシのとんでもなく奥深い世界にまんまとぶつかってしまったんですね。もう、まんまと(笑)。まずこんなに昔から何枚もアルバムを出していたとは思いませんでしたし、毎回毎回おどろくほどコンセプトが違うものを著していたというのも知りませんでした。とりあえず最初に聴いたのは『sweet memory』だったんですが、なんでしょうね、やたらと胸にぐっと来て息ができなくなるほど懐かしい郷愁を感じました。『ああ、これだ、ついにこのバンドにつかまってしまった・・・!』と抗いきれない魅力に強烈にまいってしまったことを覚えています。そのときはもう、聴きすぎてぐったりするほどアルバム何枚分もの試聴を繰り返しましたね」

――さっきの質問とセットなんですが、そのスタート地点を経て、自分の中でエレカシファンになった決定的な出来事というか「この瞬間にこのバンドにハマったんです!」みたいな分岐点ってありました?

「ハマったと言えばもう試聴をしたときには充分ハマっていたのでしょうが、やはり宮本浩次という人物自体にのめり込んでいったときがいちばんそう言えるんじゃないかと思います。あれはたぶん、まささんの「good morning」にUPされていたラジオの聞き取り記事ががーんと火を付けたきっかけでしたね。そこらへんから過去のインタビューや著書やあらゆるエレカシ、宮本浩次に関するものを読み漁っていくようになりました。それがもう想像以上に面白くて、止まらなくなっちゃいました(笑)」

――今までエレファントカシマシを聴いてきた中で、一番衝撃的だった曲って何ですか?

「もう、毎回といっていいほど衝撃は受けてるんですけど・・・。強いていうなら「星の砂」でしょうか。やっぱり歌詞がこれでもかと右に片寄っているところが。本当にそういう思想の人が書いたのかと思って心配しました」

――初めて行ったエレカシライブはいつでした?生で体験したエレファントカシマシはどうでしたか?

「2003年10月に渋谷公会堂で行われた『俺の道TOUR』です。いやあもう耳がおかしくなるくらい音がデカいくせに演奏がめちゃめちゃ下手クソで(笑)、あと私が見に行ったライブのなかでいちばん宮本さんが暴れてたときでしたね。その時は迫力があってパフォーマンスが面白いバンドだなという印象を持ちました。なんか今思えば邪道な感じですね」

――エレカシ熱が下がった時期ってありますか?エレカシ熱が再び上昇したきっかけがなどあればそれも教えて下さい。

「日によって全然違います。まったく必要がなくなるときもあるし、逆に今エレカシを聴かないと何にもできないというときもあります」

――なかなか難しい質問かもしれませんが、お約束なので。好きなアルバムをエピック時代からと、それ以降から1枚ずつ選んでもらえますか?

「エピック時代なら『浮世の夢』、それ以降なら『俺の道』ですね。なんか以前答えてた人とかぶってますけど、嘘がない状態で答えるとやっぱりこうなるので」

――もっと難しい質問かもしれませんが、好きな曲をいくつか教えて下さい。これはどうぞ気が済むまで挙げて下さい(笑)

「うわ〜、やっぱりほぼ全部!・・・と言いたいところですが、あえて、あえて答えるとするならば。好きなアルバムからは「上野の山」「GT」「珍奇男」「月と歩いた」、「ハロー人生!!」「勉強オレ」「オレの中の宇宙」「心の生贄」、えーと、あとはもう勘弁してください・・・」

――ところで、エレファントカシマシを好きになる以前にハマったバンドや歌手っていました?

「及川光博、ミスチル、井上陽水。・・・やっぱ自分でも変な並びだと思ってます」

――なにぶん不慣れなもので、質問の仕方がまずくて掘り下げが浅かったり、つじつまがあわなかったりした部分もあったと思うんですが、何か補足することはありますか?

「自分とエレカシとの出会いを『あ〜、こんなだったっけ』と想い出しながらふりかえっていくのが、とても楽しかったです。ファンの心の奥底にまでごく自然な感じで迫っていけていて、ほんとうに素晴らしい企画でした」

――最後にひとこと。エレカシの歌詞でお気に入りのフレーズをひとつ。

「『それじゃダメさ言葉から なんでもそうさ 言葉から始まる』」(「甘い夢さえ」)

――これからもお互いディープなファンを目指してがんばっていきましょう(笑)。今日はありがとうございました。

「ありがとうございました」


最初は拒絶したはずのバンドだったのに、月日を経てドカンと来る。エレカシは時限爆弾のようなバンドなのかもしれませんね。ハマった原因のひとつに、うちのサイトを挙げておられるのに感激しました!イヌノアウさん、ありがとうございました!


エレファントカシマシ入門サイト good morning (http://elebox.moo21.com)