TOP > 発言集 > ミュージックスクエア '98.12

NHK-FM「ミュージックスクエア」より

DJ=中村貴子/ゲスト=エレファントカシマシ 宮本浩次
(1998年12月7日放送)


 アルバム「愛と夢」発売直前

――色々アルバムについてもおハガキ来てるんですけど。『今回が1年3ヶ月ぶりのニューアルバムで「愛と夢」』

「題して『愛と夢』ですね」

――すごいシンプルで、うん

「これはまあ非常にねえ、何と言うんでしょうか・・・あっまだ、話の途中ですか?」

――ううん、いいのいいの、それで。答えてくれていいよ

「あのー本当にね、あの僕は2人称の歌にしたいっていう風に最初に思いましてね。で2人称っていうと僕は男だから、どうしても女性ってものをある種の前提に置きながらね、まあメロディあきりで『俺、お前』『僕、君』『わたし、あなた』みたいな・・・『俺、あなた』みたいな非常に2人称の歌って部分をね、女性ってものをひとつ念頭に置きながらの、そんな詞の作り方をしてあると思います。でまあ非常にあの男の勝負の部分での『夢』。まあ女性だって夢たくさんあると思うけど、まあここは限定してあえて『男は夢』、また『女は愛』みたいなね、そんな部分の意味もちょっと含ませながら、非常にストレートな『愛と夢』っていうタイトルにしてみました」

――ねえ。「愛と夢」。今回全11曲、全曲宮本さんの作詞作曲なんですけども

「そうでした」

――「近頃宮本さんが愛にこだわる理由は何なんでしょうか?」

「あっ、これはね、僕は1日のうちに半分以上の時間をある種やっぱその女性問題っていうかね」

――女性「問題」(笑)

「やっぱこの非常に男の子で・・・男の子ってまあ僕は32歳だから『男の子』って言っちゃうとアレなんですけどね」

――(笑)「男の人」ね

「そう、んでまたそういったものって、あとやっぱこう自分で、例えば音楽ってものをひとつ勝負って部分の、そんな両方のね、ふたつの問題がやっぱ一番シンプルなところにいると、そのことを多く考えてるかなって感じは思いまして」

――うん。でも今まで割と歌詞にそういう「君が何とかだ」とか、あんまり言わなかったことが、今回まシングルも含めすごく言ってるじゃないですか。それファンの人たちは、色々考えてるんですよね

「ああー」

――何でその急にそういう風に・・・まあ2人称っていう話が出たけど、そういう風になったのかな?

「ま2人称、この何作か僕はずっとやってたんですけども、ただ非常にね、そういう僕はあの、振られたりとかしてね、実はそういうこう非常にショックを受けた事件とかも実は持ってたにも関わらずね、いきなりこう『男たるものこうあらねば』っていう部分のね」

――(笑)

「非常にまたそれもストレートな気持ちではあるんだけども、そんな男って部分をね、男っていうか『やらねばならぬ』っていう部分をね、非常に強調したそんな部分、だから今度のだって決してそういうことがなくなってるわけじゃないんだけれども、非常に何か、もう一個ある重要な問題のね、その異性って言うんでしょうかね(笑)。そういった問題のことも少し、っつーかやっぱ非常にストレートな僕の、生きてる当たり前の部分でね、詞にしたってことなんですけど、はい」

――きっと周りがね、ガーッと進む感じのをすごく求め過ぎちゃってた部分もあるのかもしれないですけど

「ああ、どうでしょうかね、まあどっちも非常にストレートだっていう風に僕は思ってますし」

――じゃあ今の素直な考え方がアルバムに詰まってるというねえ

「はい」

――『今回のアルバムは打ち込みも入ってるというのを知って、ライブでの印象が強かった私としては、正直不安なところがありました。でも宮本さんの声は優しい。切ない。それだけで不安に感じてた事がどうでもよくなってきました。普段の生活なんてそんな格好いいものじゃない。それでもよく見れば、どこにでもある美しいものに気づかされた感じがします』という風にね、書いてくれたんですけどもね

「ああそうですか。そうです。打ち込みの曲っていうかね、何曲か入ってるんですね」

――うんうんうん

「っていうのはね、部屋で僕は今回全部、全曲作りましてね。それでそういった部分での、何曲かそういったこう機械を使ってのね、ドラムの・・・まあ基本的には4人でやってますけどもね」

――うんうんうんうんうん。いろんな挑戦も新しいこともしつつという

「そうです。何曲かやってます」

――エレカシと言えばもうすごいリハーサル魔で、すごく練習を昔からですね、やるでしょう?

「やります。これはね、すごいですよ」

――別にレコーディングとかツアーなくてもやってるんだよね

「そうです。やります。もう週に3回は必ずやってるし、またレコーディングとかツアーになってきますとね、これ笑い話じゃない、ならないような話ですけどね、もう何しろ毎日リハーサルするんです、コンサートの前。それも6時間7時間8時間もうずっと歌いっぱなしでしょ。そうすっとね、1日2回、コンサートの曲丸々通しちゃったりとかしちゃうんです」

――(笑)

「2〜3回ね。それでコンサートの当日にもう歌いすぎちゃって、声が出なかったって時が前ありましてね。だからこれなるべく控えるようにしてるんですけどね」

――この頃は

「もうやっちゃうとね、何しろずーっとやっちゃうんですよ。修行のように。皆さん。本当に。修行僧のように」

――(笑)ストイックに行ってしまうのね

「そう。ストイックにね。本当にね」

――でも今回のアルバムのレコーディングでは、あんまりリハとかをしないで、もうそのままスタジオに入って、メンバーみんなで曲作りあげてったって感じ?

「そうです。現場での作業に集約するって僕は言ってるんですけどね、あの要するにこう、僕は今回全曲、さっき言ったように僕は全曲作ってるんですけどね、それをまた僕はソングライティングって言うんですか?それを何て言うの?シンガーソングライター。わかんないけど、曲とか詞っていう部分ではひとりでやったけれども、またそれを表現する現場においてのレコーディングの作業を4人、ないしその佐久間正英さんってまあプロデューサーの方も一緒でしたんでね、その5人でそのやってくっていうね、それはもう、そういうやり方に今回はしました、はい」

――新鮮だった?やっぱりそれって

「非常にそういったさっきのその、新鮮っていうか非常に流れのね、あるんです。何しろ流れの中でのね、そういう方向にたどり着いたっていう感じですね。だからまあ・・・ええ」

――ふーん。歌詞とかもね、割とそうなると短い期間であんまり書き直しもせずやってるって感じ?

「これはね、僕はもう今度のアルバムの何しろ曲を先に作りましてね。全11曲あるんですけども、何しろメロディを作って、メロディありきで歌詞を乗せていくっていうことで、非常に短い時間であえてね、やりました。ってのはほら、普段我々、僕たち生きててね、そうするといろんなこと考えてんですよ。いろんなもの見たりとかね。そうするとそれをことさら、何も大事件みたいにしなくて盛り上げなくてもね、非常に日常的な部分のものが非常にストレートに歌われ、メロディとあいまった時にね、きっとこれはストレートに届いていくんじゃないかっていう前提に僕は立ちましてね。それでこう非常にシンプルにスピーディーに詞なんかも作ってきましたね、今回。はい」

――きっと短い期間に作って、何回も何回も何回も作り直してない分、すごい素の部分?今考えてるのがものすごくたくさんね、詞にこもったその結果がこれじゃないかという感じするんですけれどもね

「はあはあはあ。まとめていただいてね、まさにその通りだと思います」

――(笑)

「はい。ありがとうございます。中村さん」

――あの、音楽以外の・・・

「貴子さん」

――(笑)ありがとう。下の名前で呼んでもらって。浩次さん

「ええ。浩次です。はい」

――(笑)


エレファントカシマシ入門サイト good morning (http://elebox.moo21.com)