DJ=マーキー/ゲスト=エレファントカシマシ 宮本浩次
(2001年7月23日放送)
「35になりまして、僕もねえ」
――うん
「まあ言ってみれば中年の第一歩ですよ、これもう30も半ばになってくるとね」
――なるほど。まあなあ。俺ぐらいまで来るともう開き直れるところもあんねんけどな
「ちなみにマーキーさんおいくつですか?」
――俺はもうじき49や。もう50やな。どへー。なあ。これ人生もうビッグファイブオーいう感じでなあ。昨日もクサカチュウさんにいろいろ言われましてね。言われたっていうか話したらね・・・
「いやでも若い・・・まあわわわ若いって言うとちょっとアレですけど」
――なんスかねえ
「リスナーの皆さん、ちょっとこうマーキーさんどう見ても、ご、よん、59には見えない」
――59。おい。10歳もいっとるやんけ
「49に。見えないですよこれ、ええ」
――まま何でもええ、その辺になってくると
「でもあの・・・色つやがいいと言いますかね(笑)」
――色つやが(笑)
「お元気そうで。相変わらず海とか行ってらっしゃるんですか?」
――行ける時はな。行ける時は行くで、やっぱり海は。今やっぱりとりあえずな、あと1年ぐらいしかないし、50まで何とかせなあかんし、みたいな
「(笑)」
――(笑)
「でもねえ、や本当にマーキーさん、いや驚きました」
――いやいやホンマ。でも35でやっぱり一つの節目を感じてるんや。宮本君も
「いやでもね、若干ね、その35ぐらいですとやっぱまだ10代20代の記憶も近いんですわ」
――いや、俺でもそうやもんなあ。やずっと続くでそれ
「そうするとね、やっぱこの暑さと、あと何て言うのかなあ、やっぱこう・・・例えばファミレスなんか行きましてね。あーのファミレスのご飯つったらもうー飢えたね、」
――(笑)飢えた
「何しろもう人目も気にせずね、もうむしゃぶりつくようにファミレスのご飯食べてた訳ですよ」
――もうグワッとな
「それがね、やっぱりね、この前全部残しちゃったんですよね。鶏の唐揚げを」
――あらららら、鶏の唐揚げ
「それも空腹なのにもかかわらず、ファミレスのご飯を残しちゃった」
――残した
「すごく辛かったですね、ええ。て言うのは要するに人生の蓄積みたいなものがある程度あって、例えば一度でもね、おいしいものを食べちゃうと、これやっぱ脳味噌のどっかにインプットされる訳ですわ」
――そらそやろな
「そうするとね、やっぱ比較ができちゃう」
――ああー
「要するに、あれは旨かったと。だからまあ、もちろんそのファミレスのご飯まずいとは言わないけれども、ま普通ですわ」
――うん
「そうすると旨いものと、要するにその、普通のものっていうのを頭の中で比較できちゃうんですよ」
――なるほど
「多分それは蓄積やなと僕は思いますわ」
――なるほど。それやっぱ記憶は災うと言うたらおかしいけど、記憶力、味覚の記憶があるからやろな、これ。1回1回忘れたら、これはもうファミレスであろうが、もうその土に落ちた餅であろうがやね、ま土に落ちんでもええけども、何でもこの新しい食感として来るんやろうけど。今言うたように覚えてるっていうのが、これ問題やねんな
「(笑)そうなんですよ」
――忘れなあかんのかな、これ
「ある種そうなんですよ」
――ある種そういうところがあんのかな。ああそう。そんで昔ガー食ってたけど、唐揚げを残した時に。ふとそれもやっぱり比べたんやろな
「そうなんですよ」
――「昔の俺だったら食えてる」
「そう」
――「何でこれ残す!」
「もちろんこれからも僕はファミレスのね、あの行くとは思うんですが、ただそん時はだからショックでしたわ」
――なるほど。自分が
「ああやっぱ俺30・・・老年かな、みたいな。だから老年の第一歩か。むしろ中年よりも、老化かなと思いましたよ」
――きたかな、と
「ええ、いやもちろんね、あの35なんて長い人生の中で言えばもちろんひよっ子ですわ。でもね、やっぱ10代20代。皆さん、本当に10代20代から・・・」
――聞いてくれ、と
「確実に・・・きますわね」
――確実にきます、と。うん。これまあある程度、自然の摂理でもある訳やからな
「そうなんですよ」
――例えば歯がボロボロ抜けてくるとか。あのー俺の知ってる人でもね、歯ね、別に入れずにそのままにしてる人、おるんですよ
「あえてね」
――でそれはあえてもう歯茎でしか噛まれへんような食べ物しか体に入れたらあかんような、もう内蔵が全部・・・
「おかゆとか」
――そうそう、そういう風になってってる訳やから、差し歯をガンガンしたら肉食べたり、そうすると体の全体機能がもうちゃんとこう、自然の摂理に従ってるのに
「なるほど(笑)」
――これどんどん若いものを入れてまうと、こらまたおかしいバランスになるんやっていう話。だからその人、入れないですけど
「でもいいですね、それもね。ハゲたらハゲっぱなしとかね」
――そうそう。そやけどね、そのうち歯茎がね、それこそ歯みたいになってくんねん。ものすごい硬いもんでも、カリカリッ。「それ何噛んでんねん?」いうぐらい。だから歯茎の歯化が起こってるっていう
クサカチュウさんって誰ですか?(ご存じの方、教えて下さい)
――『宮本さんはすごく東京に愛着があるというか、大好きなような気がしますが、大阪はどうですか?好き、嫌いで・・・』。これも今ねえ、大阪弁の女の子がかわいいとか・・・
「そうです。だからやっぱね、郷土っていうのは愛すべきもんで、例えばあの大阪で生まれた方ってのはやっぱ大阪を愛し続けるだろうし、まあ切なくね。またこう記憶の中に一つのドラマみたいなもんもできますわ」
――なるほどねえ
「やっぱだから僕、まあもちろん街としてはね、僕は大阪もちろん好きですわ。それ正直な話」
――うん
「あのーいろんなところをやっぱり、日本も広いですからね。だから、でも東京はやっぱりあのー、大阪のかたはやっぱり大阪を愛するように、やっぱ僕は東京出身ですから、いろんなものをひっくるめてね、その気取ったところも含めて、東京好きですよ」
――なるほどな。やっぱ自分が生まれ落ちたとこ・・・
「そういう意味ですよね」
――っていうのは何かこう、あるんやろな
「そう。郷土っていうかね」
――ぐわってインプットされるもんが
「そう。やっぱ街としてはそりゃ大阪っていうのはね、そのお客さんの、明るいし、まあ乗せ上手っていうかねえ。コンサートなんかやっても非常にこう明るくね、あのーやってるほうをうまーいことやっぱこう乗せてくれますよ」
――やろな。変な話、やっぱりチケット買うて行って、やっぱ楽しまなあかんという気持ちがもう、まんぱんあるから、もうこれステージの人も乗せてまおう、みたいな。乗したら俺らはもうお徳よーん、みたいな。お徳感っていうかね。まあそういうつもりでいちいち乗っていく訳じゃないんだろうけども
「でしょうけど、だから非常にそういう土地柄としては、やっぱ明るさってのはありますよね」
――盛り上がったほうが絶対楽しいというのをどっかで知ってるというかなあ。『大阪に来ると梅田のかっぱ横町に行くそうですが』って(笑)。『もう行かれましたか?』って
「かっぱ横町っていうかね、あの『阪急古書のまち』っていうのありましてね。梅田」
――ふん・・・古書のまち。あ!ああー
「あそこへはよく行きましたね」
――ああー。あの辺、かっぱ横町ちゃうか?
「かっぱ横町って言うんですか?あの辺」
――古・・・本屋さんがパッパッパっとあって
「そう。古本屋さんがいっぱいあってね」
――ああー。で古い本・・・
「そうなんです。だから京都と大阪はやっぱこう古いですからねえ、街が。ジュンク堂とか」
――ジュンク堂とかいろいろ。本・・・な。割とこうー、何かふっと時間が空いた時には
「そうなんです。好きなんだよ」
――ああー。やっぱこう本屋さんに入ったらブルッとこう、おしっこしたくなるような。ブルッと「ああ嬉しい!」みたいな
「そう!や、っていうかね、むしろね、あーの変な話ですけど、ちょっとこうトイレもよおすっていうか、トイ、あの、お小水のほうじゃなくて」
――もうこう全体的な
「そう。大のほうをね」
――「あぁん、もう」みたいな
「そう!あれはやっぱ緊張感なんですかね」
――あれ何か武者震いみたいなもんちゃうかな。もうこう、嬉しいっていう
「そうなんですよ。本屋行くと何かね、緊張感と、だからちょっともようすみたいなところがあるんですよ」
――もよおす(笑)。そうか。じゃトイレ使いやすい本屋さん・・・(笑)
「(笑)」
――それだけやっぱ本屋さんっていうのがものすごい好きなんやろな。きっとなあ
「好きですねえ」
――まあ、本大好きですけどもね。俺はもう本当にこの、本好きに何とかなりたいなと、いっつも憧れてるんですけども