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月兎さんとエレカシとの出会いをたどる

(05/6/24回答)

――今日は一問一答形式で、エレカシファンになったきっかけを根掘り葉掘り探っていこうという企画です。どうぞよろしくおねがいします。では、最初の質問はお約束ということで、お名前を教えて下さい。もちろんハンドルネームで結構です。

「こんにちは。月兎です。はじめの頃は月子と言っていました」

――最近は、やれセクハラだ個人情報保護だとうるさいので、住所、年齢、職業、性別等はあえてお伺いしません。と一応、網を張ってみます(笑)

「今年の3月、サンフランシスコ郊外に引っ越してきました。エレカシに出会った頃は京都にいたんですけどね。それから岐阜、志摩とさすらって。。ついに海外に放り出されました。まさに人生は旅の途中〜♪もうかれこれ四半世紀、じゃなくて半世紀ほど長生きしてます。こちらではビザの関係で専業主婦です」

――さっそくエレカシとの関わりを探っていこうと思うんですが、そもそもエレファントカシマシっていうバンドを初めて知ったのは、いつ、どういう形でだったんですか?

「聞いてください!まさに1999年5月1日の夜。お布団を敷いて寝る前に何気なくテレビをつけたんです、豆電球のかわりに。あの、、、テレビなら眠くなった時、リモコンで消せたので。
歌番組をやっていて見たことのないバンドが出てきました。小柄な人がちょこまかしててメンバーに花をくわえさせたり。私 変な人好きなので注目しました。話しぶりから そんな新人バンドじゃないみたいなのに私、知らない。何で??そして演奏が始まったとたん、重いサウンドと私好みの声。ウソ〜〜〜!お布団から起き出して来て すかさずバンド名をチェックすると画面の端に「エレファントカシマシ」。???長い名前だ。。番組はポップジャム。曲は「真夜中のヒーロー」でした」

――当時の印象って覚えてます?

「ちょこまか一人で喋ってた人は 黒いフード付きのジャケットを着ていてとっても生意気そうで可愛かったです。(笑)」

――なるほど。で、その時は何かしました?

「娘を呼んで エレファントカシマシとかって知ってる?って聞きました。知ってるって言うので 何で私は知らなかったのかとくやしがった」

――それでは、初めてリアルタイムで買ったアルバムって何ですか?

「『good moning』です。」

――そのアルバムが出た頃がエレカシファンとしての始まりと思っていいんですかね?

「いえ、新しいアルバムを買うまでには 1年近く待たされました。その間に古いアルバムは全部聴いていました。そしてエレカシはその間に変革をとげていたんです」

――そのアルバムが、アルバムとして初めて聴いたエレカシだったんですか?それともそれより前に何か昔のアルバムを聴きました?

「ポップジャムで出会ってから「何でもいいからエレファントカシマシのCD借りてきて」と娘に頼んで ポニキャニ時代の3枚のアルバム(編集注:『ココロに花を』『明日に向かって走れ』『愛と夢』)はほぼ同時に聴きました。どれもこれも凄く良くて ぐるぐる聴いてました。ウォークマンでも聴くようになって、そしたら街の空気も違って感じられて どこまででも歩いて行けそうでした」

――その初めて体験したエレカシのアルバムはどうでした?通して聴いた時の感想、覚えてます?

「すごくいい声 まっすぐな歌い方が好き。特に「愛の日々」を聴いた時、凄い歌手だ〜と思いました」

――シングルの場合は買わない人もいると思うんで、エレカシファン歴の参考にはならないかもしれませんが、せっかくなのでお聞きします。初めてリアルタイムで買ったシングルって何ですか?

「「ガストロンジャー」です。発売日にCDを買うなんてはじめての経験で あのストイックなジャケットがお店に並んでいるのを見て ドキドキしました。かっこいい〜」

――それでは、いよいよ核心に迫る質問なんですが、エレカシファンとして今に至るスタート地点ってどこだったんですか?エレカシのことが最初に気になりだしたきっかけを教えて下さい。

「出会ったとたんに嵌ったわけなんですが その後も知れば知るほど 深みにはまる。。という感じで。たぶん「トップランナー」を録画したことが大きかったです。全部おぼえてしまう位 繰り返し見ました。「悲しみの果て」の出だし、夕焼けのようなライトの色が目に焼きついています。それと「宮本浩次が選ぶ「東京」の10冊」という記事を偶然見つけたのも。その内容にひっくり返りました。初めて買ったCDは『東京の空』なんですが(レンタルで無かったので)それを買った帰りに寄った本屋で「Bridge」の連載が始まったのを見たんです。タイトルが「東京の空」!運命だ〜なんて思うことの連続でした。毎日が発見で」

――さっきの質問とセットなんですが、そのスタート地点を経て、自分の中でエレカシファンになった決定的な出来事というか「この瞬間にこのバンドにハマったんです!」みたいな分岐点ってありました?

「ハマりっぱなしなんですが やっぱりエピック時代の曲を聴いたことかなと思います。はじめ『Best』を聴いたときは「珍奇男」なんてよく商品になったものだと(もちろん悪い意味じゃないですよ。でもこの曲の本当の良さはライブでこそ発揮されると思います。)エピックの太っ腹に驚いたぐらいなんですが それぞれのアルバムを聴き込む内に 自分の中では言葉にならず はっきり意識もされていなかった怒りやら悲しみやらが綯交ぜになった感情がぐわーと湧き出てきてそれが浄化されてゆくようでした。文学に似た働きで 敢えて言えば文学より深くて激しいです。エピック時代の曲を聴き続け 寝る時間を惜しんで「風に吹かれて」を読んでいたこの時期は たぶん1ヶ月ぐらいの間に5キロ痩せました。(もちろんとっくに取り返しましたが)(笑)」

――今までエレファントカシマシを聴いてきた中で、一番衝撃的だった曲って何ですか?

「「ガストロンジャー」です。いちばん待ち焦がれていた時に出たシングルでしたし、最初、タイトルだけを漏れ聞いた時は???でしたが リキッドやクアトロのレポを読んだり まささんがUPしてくださった宮本の檄文を読んだりするにつれじっとしていられない衝動にかられました。ラジオで最初流れたんでしたね。思い出すだけでも心が熱くなります」
※編集注:「最強のロックスピリッツ。それが、エレファントカシマシ。すなわち俺だ。」という有名な言葉で締めくくられる、good morningのポスターに載せられた宮本手書きの文章。某Tレコードに看板が立てられた日に、まさが「とびぞうの庭」にその全文を投稿した。

――初めて行ったエレカシライブはいつでした?生で体験したエレファントカシマシはどうでしたか?

「99年12月の神戸ライブです。ちょっとした行き違いで途中まで入れなくて あのときの焦燥感と やっと入れたときのの感激は忘れられません。「珍奇男」をやっていました。本物の宮本がそこに〜」

――エレカシ熱が下がった時期ってありますか?エレカシ熱が再び上昇したきっかけがなどあればそれも教えて下さい。

「ごくはじめ、何も映像を持っていなかった頃 娘が自分のビデオの中から映像を発掘してきて それが『愛と夢』の頃のだったと思うんですが 頬がぷっくりしていて「こんな人だった?何か間違ったかも・・」と一瞬だけ思いました。(笑)それから・・いろいろ知るにつれて彼の中の迷いや矛盾が見えてきたんですね。それは最初に勝手に私が思い込んだ人とはちょっと違ったので ほんの少し引きました。でもすぐ そんな人間くささが余計に心に刺さるし魅力と感じるようになりました」

――なかなか難しい質問かもしれませんが、お約束なので。好きなアルバムをエピック時代からと、それ以降から1枚ずつ選んでもらえますか?

「『II』と それ以降は 選べないので 次に出るアルバム!」

――もっと難しい質問かもしれませんが、好きな曲をいくつか教えて下さい。これはどうぞ気が済むまで挙げて下さい(笑)

「エピック時代では「偶成」「自宅にて」「寒き夜」といつも言っています。考え直すとこれもきりが無いので。それ以降は 例えば「さらば青春」「Soul rescue」「真夏の革命」「生命賛歌」「DJ in my life」。。。」

――ところで、エレファントカシマシを好きになる以前にハマったバンドや歌手っていました?

「大昔は布施明が好きだったんです、カンツォーネを歌ってた頃の。笑われちゃうかな?でもマイクにぶら下がるような角度で歌う絶叫型の歌いっぷりとか、共通してるところって結構あるんですよ。昔の彼は細かったし。。それからScott Walker! 細ーい足と腰、ハラハラさせられるところも似ています。声の質は皆違うけれど 本当の歌手だということは共通してますね。でももちろん宮本浩次は究極です」

――なにぶん不慣れなもので、質問の仕方がまずくて掘り下げが浅かったり、つじつまがあわなかったりした部分もあったと思うんですが、何か補足することはありますか?

「これだけ深く長くファンでいるのは もちろんエレカシが弛みなく前進しつづけてくれるからですが それ以外にも私にとってはインターネットの力が大きいと思います。ネットを通していろんなファンの方と知り合い世界が広がりました。TV局に企画書を出して思いがけず担当者とやり取りしたり 「ガストロンジャー」発売のころには じっとしていられない気持ちになって「とびぞうの庭」の場をお借りしてファンの応援メッセージを集めてPAOに送ったり いろいろありました。エレ京会を通して京都磔磔のライブも実現しましたしね!今も海外にいてもライブレポを読んだりして いつもエレカシを身近に感じていられます。HPをつくってみえる方 書き込みをしてくださる方 皆さんに感謝です」

――最後にひとこと。エレカシの歌詞でお気に入りのフレーズをひとつ。

「『俺は、俺は存在してるよ この東京に』お気に入りというか その事実が痛いほど大切」(「good morning」)

――これからもお互いディープなファンを目指してがんばっていきましょう(笑)。今日はありがとうございました。

「長々と失礼しました。そしてこちらこそ 有難うございました。お陰でエレカシに出会った頃のことを色々思い出しました。あの頃は個人的にも大変な時期で もしエレカシに出会っていなかったら この7年間(もう7年!)一体どんなだったろうって思うと ぞっとします。ことあるごとにエレカシを聴き ライブを楽しみにしてやり過ごして来ました。今、カリフォルニアのあっけらかんとした青空にエレカシはちょっと似合わないけれど これからもずっと聴き続けます。そのうちライブに合わせて一時帰国するかもしれません(願望)! その節にはまた宜しくお願いします」


思わず布団から起き出すほどの衝撃的な出会いをされた月兎さん(あの日はエレカシだけはカラオケではなく生演奏でした)。今はもどかしいでしょうが、また日本に戻ってこられたら、彼らの魂をイヤというほど味わって下さい!月兎さん、ありがとうございました!


エレファントカシマシ入門サイト good morning (http://elebox.moo21.com)